2016年12月27日

遺言書の種類と特徴について

相続では亡くなった方の意思が最も尊重され「法定相続よりも法的に効力のある遺言」が優先されます。相続の遺産分割は、遺言の有無で大きく変わるのです。ここでは遺言書の種類とそれぞれの特徴についてご紹介します。

遺言書とは

遺言は亡くなった方(被相続人)の「自分の財産をどのように相続させたいのか」という最終的な意思を伝える手段です。被相続人は、自分の死後に相続に関してトラブルなどが予想される場合には遺言書で自分の意思を明確にしておくと安心です。
遺言は必ず文書にする必要があり、録音や録画で作成された遺言書は無効となるので注意してください。また、民法の規定による方式に従って作成しなかった遺言書も法的に無効になります。

遺言で決めることができる事項

遺産相続は大原則として、法定相続よりも遺言による相続が優先されます。(ただし、相続人全員の同意がある場合は遺言に従わなくてもよいなど、絶対の効力はありません。)遺言ではどんな事項が指定できるのでしょうか。指定できる主な事項を挙げます。

  • 遺産分割の指定(相続人への財産分割)
    特定の相続人への相続拒否や廃除など(ただし、配偶者と子供、親にあたる相続人には最低限の財産保証があります)。財産分割は全ての財産についての記述が必要です。
  • 遺贈・寄付(相続人以外への相続の指定)
  • 遺言執行者の指定
    遺言執行者とは、相続の手続きを取り仕切って遺言どおりに遺産相続が行われるように執行する人で、遺言でのみ指定ができます。
  • 祭祀継承者の指定(葬儀の主催や墓守をする人物の指定)

など。

遺言として認められない内容

婚姻や養子縁組についての内容は認められません。例えば、「自分の死後、配偶者との婚姻関係を解消する」といった内容が該当します。
また、1つの遺言書を夫婦2人で書いて連名で署名した共同遺言も認められません。

遺言書の3つの種類

遺言書には大きく分けて「公正証書遺言」「秘密証書遺言」「自筆証書遺言」の3つの種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

費用が必要で書類の準備などが多いが、無効になりにくい「公正証書遺言」

「公正証書遺言」は、公証役場で証人と共に作成する遺言方式です。専門家の手を借りることで内容の不備がほとんどなく、無効になりにくい点が特徴です。また原本が公証役場に保管されるため紛失の心配もなく、検認を受ける必要もありません。しかし、作成のために費用が必要で、複数の書類を準備して公証役場に出向く必要があるなど、手間と時間がかかります。

手続きが複雑だが、遺言内容の秘密を守れる「秘密証書遺言」

「秘密証書遺言」は、遺言内容を秘密したまま、遺言書を作成したことが明らかにできる遺言方式です。

「秘密証書遺言」の手続きの流れ

  • 自分で作成した遺言書を封筒に入れて、遺言書に使用した印鑑で封印する
  • 封印した遺言書を持って公証役場に行き、2人以上の証人の立ち合いのもと公証人に提出して手続きする
  • 手続きが完了したら、遺言書を持ち帰る

手続きの後、遺言書は本人が持って帰りますが、公証役場には秘密証書遺言が作成されたという記録が残るため、遺言書の存在は明らかです。ただし、自筆による署名、押印、正確な日付の記載、加除訂正は「自筆証書遺言」同様に決められた書式に従っていない場合は無効になります。また、遺言者の死亡時には、遺言書を家庭裁判所に提出して検認を受ける必要があります。手続きの複雑な「秘密証書遺言」の作成は、専門家のアドバイスを受けることも検討しましょう。

自分で作るため、手間・費用がかからない「自筆証書遺言」

「自筆証書遺言」は、本人が自筆で作成して署名・押印する遺言方式です。手間も費用もかかりませんが、民法で決められた書式が守られていない場合は無効となるので注意しましょう。

「自筆証書遺言」の5つの要件

  1. 自分で全文を書く
  2. 日付は自分で正確に書く
  3. 氏名は自筆で1人だけが書く
  4. 押印をする
  5. 間違った部分の訂正は法律によって定められた加除訂正で行う

メリットとデメリット

「自筆証書遺言」は自分で全て書くため、費用や手続き書類、公証役場に出向くなどの手間はありません。しかし、方式や内容によって無効になる可能性があり、保管場所によって相続時に発見できない場合や、紛失・改ざんなどの危険性もあります。また、遺言者の死亡時には、遺言書を家庭裁判所に提出して検認を受ける必要があります。

「秘密証書遺言」「自筆証書遺言」に必要な検認とは

遺言書の検認とは、相続人に対して遺言書の存在とその内容を明らかにして、偽造されることを防ぐための手続きです。「公正証書遺言」は公証人が作成しているので検認の必要はありません。

検認の流れ

  • 見つけた遺言書は開封せずに家庭裁判所に検認を受ける
  • 家庭裁判所では、相続人などの立ち合いのもとで遺言書を開封する
  • 家庭裁判所は、日付や筆跡、加除訂正箇所の署名など、その内容を確認して検認調書を作成する

検認に必要な費用など

検認作業には、遺言書1通につき800円分の収入印紙代や、連絡用の郵便切手代や遺言者・相続人の戸籍謄本などの費用や書類が必要です。
また、家庭裁判所外で遺言書を開封した、遺言書を家庭裁判所に提出しなかった、検認をしないで遺言に沿って相続の手続きを進めてしまった場合は5万円以下の過料に処されます。

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