トラブル事例

[ T’act 11号掲載 ]
退去時の思わぬトラブル発生を防ぐために、
入居時の十分な説明を行うことが重要です

今回のテーマ【退去時の原状回復義務について】
契約締結時に契約条件を具体的に開示し、認識を共有しましょう

トラブル事例

退去時の原状回復をめぐり思わぬトラブルが派生することも

国民生活センターには、退去時の原状回復費用や敷金に関する相談が、年間で約1万件も寄せられています。退去時の立合いチェックにおける原状回復をめぐるトラブルの多くは、入居・退去時の確認が不十分であることに起因しています。賃貸借契約期間が長期にわたる場合、当事者間の記憶だけでは事実関係が曖昧となり、損耗の箇所や発生時期等をめぐってトラブルになりやすいとされています。また、賃貸人の費用負担となる「通常損耗」と賃借人の負担が必要となる「通常の使用を超えるような使用による損耗等」についての認識に齟齬がある場合もトラブルに繋がりやすくなります。

  • 賃借人との認識の齟齬が生じないためにもチェックリストの作成や取り決めの書面化を行いましょう

    東急住宅リースでは、入居・退去時の損耗の状況を確認するためチェックリスト等を活用しています(※ご契約プランにもよります)。入居時に損耗の箇所や具体的な状況を記入するなど十分な確認と説明を行い、退去時に備えて、賃借人と共通認識をもつよう心掛けましょう。
    また、国土交通省発行の『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』では、原状回復の義務について、「建物・設備等の自然的な劣化・損耗等(経年変化)」及び「賃借人の通常の使用により生ずる損耗等(通常損耗)」は賃借人に原状回復義務がなく、「賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等」の場合には賃借人に原状回復義務があると定めています。図1・2が基本的な考え方となりますが、明確な線引きが難しいのも事実です。当事者間での取り決めを書面化し、認識の齟齬を事前に無くしておくことが重要になります。

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事例の区分

事例のうち建物価値の減少ととらえられるものを、

A 賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの
B 賃借人の住まい方、使い方次第で発生したりしなかったりすると考えられるもの (明らかに通常の使用等による結果とはいえないもの)

A(+B)基本的にはAであるが、その後の手入れ等賃借人の管理が悪く、損耗等が発生または拡大したと考えられるものの3つにブレークダウンして区分した。 その上で、建物価値の減少の区分としてはAに該当するものの、建物価値を増大させる要素が含まれているものを、A(+G)に区分した(図2)。

未然にトラブルを防ぐためにも契約時に確認を十分に行うことが大切

原状回復をめぐる退去時のトラブルを防ぐ最大のポイントは、入居時にあります。チェックリストを使用した損耗等の確認の他、原状回復義務に関する説明も必要不可欠です。賃借人にしっかりと理解してもらうことが何より大切なので、賃借人に合わせたわかりやすい言葉で丁寧に説明しましょう。
国土交通省のガイドラインでは、トラブル時の判例や一般的な線引き等を開示しています。しかし、通常損耗か否かについては、状況に応じた判断が必要になることも多く、当事者間での確認が欠かせません。退去時に話し合いができるよう賃借人に理解を求めることも大切です。

出典:国土交通省発行「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)

監修

  • 西森 怜奈

    西森 怜奈 Nishimori Rena

    東急住宅リース株式会社
    経営戦略本部 総務部 法務グループ(企業内弁護士)

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