トラブル事例

[ T’act 14号掲載 ]
減災のために再確認!自然災害への備えと対策。
建物管理の一環として、防災上、日頃から点検しておきたい箇所

今回のテーマ【地震や台風などへの備え&入居者対応】

トラブル事例

台風・地震・大雨…。災害への備えは万全ですか?

日本は言わずと知れた“地震国”です。さらに近年は、台風や局地的な豪雨などを原因とする水害・風害・土砂崩れなどが全国各地で頻発しています。自然災害は、賃貸住宅経営における大きなリスクのひとつ。オーナーも、不安を感じることは多いのではないでしょうか?
中小企業庁の「我が国における自然災害発生状況」によれば、1991年~1995年の発生件数は28件だったものが、2011年~2015年には47件と、増減を繰り返しながらも少しずつ増えている傾向が見てとれます。全国的に防災意識が高まる中、2020年7月17日には宅建業法施行規則の一部改正がなされ、不動産取引の際に必要な重要事項説明について、「水害リスク情報の説明」が義務付けられました。入居者が災害に強い住まいを求める傾向は、今後ますます強くなっていくと予想されます。大切な入居者や資産を守るために、災害に備える対策や被災した場合の対処法などを、改めて確認しておきましょう。

  • 損害保険の確認と、建物の管理・修繕は必須

    自然災害で賃貸物件が損壊した場合の多くは、オーナーが修繕する必要があります。加入している火災保険の補償範囲に、水災や風災、雹災、雪災などが含まれているかを確認するとともに、水害リスクが高いなどの立地特性に応じて、特約の付加を検討しましょう。火災保険で補償されない「地震に起因する火災」に備えて、地震保険への加入を検討するのも一案です。
    また、建物の適切な管理も、重要な災害対策です。台風や豪雨に備えて、屋根や外壁の防水処理の点検・修繕、排水設備の掃除などは、定期的に行ってください。建物の周りの植栽や看板等も、強風で飛んだり折れたりして物や人に被害をもたらすことがないよう、しっかり管理しましょう。
    簡易的なリフォームで防災力を高める方法もあります。例えば、各居室の窓ガラスを強化ガラスに変える、窓外にシャッター付ける、建物の内・外装材を不燃・難燃素材に変えるなど。なお、不燃化を目的とした建替えに対しては、補助金制度を整えている自治体もあるので、一度確認してみると良いでしょう。

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入居者の意識向上や防災アイテムの設置も視野に

防災対策は、保険や建物・設備のハード面に加えて、入居者に対する意識づけも重要なポイントとなります。共用部に自治体発行のハザードマップを掲示したり、万が一のときに避難経路となる共用部やベランダについて整理整頓をお願いしたりするなど、日常的な防災への呼びかけや、共助できる環境づくり・コミュニティー形成を図ることが減災につながります。
自然災害の中でも予測がしやすい台風への事前対策ならば、ベランダに置いてある強風で飛ばされそうな物を室内に移動する、不要不急の外出を控えるなど、呼びかけるのも良い方法です。
このほか、消火器や火災報知器などの消防用設備は、必ず定期点検を行いましょう。消防法では、半年に1回の機器点検、年1回の作動テストが義務付けられています。また、簡易トイレや非常用電源といった防災備蓄も、必要に応じて検討してみましょう。

(参考)
カカクドットコム「スマイティ賃貸経営」災害時代の備え~
株式会社エイブル「大家さん向け~アパートの防災~」
中小企業庁白書2019

※点検義務は、自治体や建物規模により異なります。さらに、3年に一度、消防署への点検報告も必要です。
※一例です。

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